
ケルラ海岸朝早く。
「よう、ごまもちじゃねえか。どうしたい、朝っぱらからたそがれてよ。」
「……なんだ番茶執事か。悪いけど魚ならないよ。」
「そんなんじゃねーよ……って、番茶って何だゴルァ」
「うるさいなー、これあげるからはやくお帰り。」
紅茶執事は小さい緑の玉を拾った。「な! こんなんいらねーよ」
「んじゃこれ」
紅茶執事は蜘蛛の糸を拾った。「だーかーらー」
「ぽい」
紅茶執事はインベントリが足りない。「羊毛20個なんてどっから出しやがった!?」

「……なんだ、そんなことか。初心者服だからアヤしい業者に間違われてPvPを申し込まれると。受けりゃいいじゃなーか、対戦くれーよ」
「あんた沙弥さんにも同じこと言える?」
「……いや。そんなこと言ったら次の日にはフィリアの一番高い旗に縫い付けられてるな。本返し縫いで。」
「だいたいよ。その服のどこが不満なんだよ。オレ様とおそろいじゃねーか」
「……ペンギンに女心をわかれってのが間違いだったね」
「ア!?」
「んじゃこいつをやる」
「いいの? イゥプリカさんのでしょ? 怒られるよ」
「な、なあに、お嬢はもうこんなの着ねーさ。安物だし。必要ならいつでも沙弥が作れるしな。いつもインベントリが足りねーって騒いでるしよ。」
「ふーん。でもこれ、見事に色がそろってるんだけど。しかもこのリュート、マスの褒賞じゃないの?」
「い、いいんだよ!オレの言うことはお嬢だってだまってきくよ!」
「わかった、ありがとう」

うーん。どうやってお嬢に言い訳しよう。
ルンダでスケルトンパイレーツに盗られました……、デザドラの落としたダスティン鎧を拾うために捨てました……。うーん、うーん。
「茶太郎、あんたに手紙」
! お、お嬢、心臓に悪いぜ。あと茶太郎はやめてくれ。
「なによ」
「い。いえなんでも」
ごまもちからか。
なになに。
番茶太郎へ――。
似合うだろう。くやしかったらあんたも染色してもらいなさい。
にせロナより。
! あ、あのばか写真まで入れてよこしやがった!
「あら、似合うじゃない。今度会ったらまた染色お願いね、っていっといて。」
な、なに? ひょっとしてあのリリナロングとかも染めたのはごまもちなのか?
で、最初からごまもちに渡すつもりだったと?
「そうよ。だから茶太郎をあの日ケルラにいかせたんじゃないの。」
オ、オレっていったい……。